年齢 | 50代 |
性別 | 女性 |
職業 | 工場勤務 |
主訴 | 顔面神経麻痺 |
初回来院日 | 2024/8 |
顔面神経麻痺はWHO(世界保健機関)の鍼灸適応疾患の一つとして挙げられています。
神経の回復と筋肉の運動を促す効果が期待できます。
経過
- 発症7月15日
左側の感覚がないことに気が付き、どんどん顔が歪み始める
- 急性期医大附属病院を受診
顔面神経麻痺と診断される
ステロイドと血流改善の薬を処方してもらう - 当院来院前他院で治療を受ける
2回の治療(食事の改善と身体への治療)
- 8月6日当院へ来院
痛みは無いが、顔の左側の感覚が無く、うまく動かせず困っている
10日間はステロイドと血流を改善する薬を服用(医大附属病院)
セルフケアの指導は無い
各検査
・顔面神経麻痺のチェック項目には40点法(柳原法)があり、それを基にどれくらい表情筋を動かせるか確認
・感覚が鈍い部位、過敏になっている部位がどこなのかを細かく確認
・涙の過剰分泌は無いか確認
・味覚の変化は無いか確認
・内耳の痛み無し
・水疱なし(帯状疱疹)
・頸椎の可動性の確認
・発症までの身体的・精神的ストレスについて確認
・食事について確認
施術内容
表情筋をコントロールしているのは顔面神経
顔の感覚を運んでいるのは三叉神経
口腔内の感覚は三叉神経、舌咽神経、顔面神経
舌を動かしているのは舌下神経です。
それぞれの神経の働き、そしてこの神経の通り道について説明し、頭頚部、肩背部に鍼灸治療を行い、2回目の施術から頚椎の調整も行いました。
- 1診目8月6日
目を閉じる事が出来ず、うがいをする時に水が漏れる。
口の中を頻繁に噛み、口内炎が出来る。
頭、耳介、耳の中、頬の感覚が鈍い。 - 2診目8月11日
口を漱ぐときの水の漏れが少なくなっている。
- 3診目8月18日
うがいをする時水がこぼれなくなった。
目を閉じる事が出来る。
頬と耳介部分の感覚が鈍い。 - 4診目8月24日
順調に良くなってきている。
目は何ともなく、食事中も口からこぼれる事が無くなった。
口内炎も無し。 - 5診目9月7日
感覚の左右差はほぼ感じていない。
強いて言うなら頬の一部にわずかに残る。
※治療終了
まとめ
顔面神経麻痺は以前から非常に多い相談内容です。
急性期は病院の診断と投薬を受けた方が安全でもありますが、鍼灸治療も出来るだけ早期に取り入れるべきだと考えています。
鍼通電を用いる治療法もありますが、当院では基本的に顔面神経麻痺には鍼通電は行いません。
通電で後遺症を残してしまう可能性があるとの論文もあるからです。
しかし、問題ない。との論文もあり、今後治療法は変化していくかもしれません。
顔面神経麻痺には2種類の形がありますが、どちらもヘルペスウィルスの関与が考えられていますので、急性期は病院を受診する事をお勧めします。
そして、どの神経が強く影響を受けているのか?
これを見極め治療する事が大切で、顔面神経麻痺にはこのツボが効く!
というマニュアル的な施術は行っていません。
そして、顔だけの施術も行いません。
今回、初診時の症状は強く、日常生活にも支障をきたしておられましたが経過も良く、4診目~5診目は2週間空けても順調に回復されていましたので治療は終了とさせて頂きました。
今後のメンテナンスは必要に応じて。という事になります。
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